国内株式市場において、遠隔医療をテーマとする関連銘柄に再び資金が集まっている。データセクション、エアウォーター、NEXYZ.グループといった企業群が短期的な物色対象となっており、医療DX、人手不足への対応、地域医療の機能補完という複数の切り口から、投資家の関心が高まっていることが確認できる。
参考: 遠隔医療関連の主要テーマ株が再注目、国内市場で物色広がる(Kabutan)
分析・見解
医療データ・物流・通信の3社が同時に買われる意味
今回の株式市場の動きは、2020年のコロナ禍で起きた一時的な遠隔医療ブームとは違う性質を持つ。注目すべきは、データセク(医療データ分析基盤)、エアウォータ(在宅医療機器・医療ガス供給)、NEXYZ.(医療機関向けITインフラ)という、異なる分野の企業が同時に買われている点だ。
これは遠隔医療がひとつのサービスではなく、データ基盤・物流網・通信インフラを含む仕組み全体として育ちつつあることを示している。
診療報酬改定と地方の医師不足がオンライン診療を後押し
2024年6月の診療報酬改定でオンライン診療の施設基準が緩和され、初診からのオンライン診療が実質的に広がった。同時に、地方では医師の平均年齢が60歳を超える地域が増えており、オンライン診療は「あったら便利」なものから「なければ成り立たない」仕組みへと変わりつつある。株式市場はこうした構造の変化を織り込み始めたと見るべきだ。
診療報酬頼みからデータ活用への収益モデル転換
遠隔医療の収益モデルも転換期を迎えている。これまでの診療報酬に頼る形から、医療機関の業務効率化やデータ活用による付加価値の提供へと移りつつある。データセクが提供する患者データ統合基盤は、医療機関が遠隔診療と対面診療をひとつにまとめて管理する上で欠かせない。こうした企業向け(B2B)のサービスが、投資対象として評価され始めている。
ビジネスへの影響
オンライン診療をしない医療機関は患者獲得で不利に
医療機関の経営層にとって、遠隔医療への投資判断は待ったなしの状況だ。診療報酬の改定により、オンライン診療を行わない医療機関は、患者を獲得する機会を実質的に失いつつある。特に慢性疾患の定期的な経過観察や在宅医療との連携では、遠隔対応できない医療機関は地域内での競争力を失う。
電子カルテ連携とAI拡張性を軸にベンダーを選ぶ
投資の優先順位としては、まず既存の電子カルテシステムとつながるオンライン診療の仕組み(プラットフォーム)を選ぶことが急務だ。次に、在宅医療を展開する場合は、医療機器を遠隔で見守る体制づくりが必要になる。株式市場が評価しているのは、こうした実際の需要に応えられる企業群であり、医療機関側も同じ視点で導入先を選ぶべきだ。また、将来のAI診断支援に広げられる仕組みを選ぶことが、中長期的な強みにつながる。
